インスリン注射による治療を安全かつ効果的に行うためには、患者自身が「正しい自己注射の方法」を正確に習得し、日々の生活の中で実践することが不可欠であり、看護師は患者に対して、この自己注射の手技に関する詳細な指導を行う重要な役割を担います。インスリン注射は、ペン型の注入器(ペン型インジェクター)を使用し、皮下注射によって行われます。正しい自己注射の手技の基本は、第一に「清潔の維持」であり、注射前には必ず手指と注射部位を消毒用アルコール綿などで十分に消毒し、雑菌の混入による感染症を防ぐことが重要です。第二に「正しい注射部位の選択とローテーション」であり、インスリンは皮下脂肪層に注射する必要があり、腹部、太もも、上腕の外側、お尻といった部位が適切な注射部位とされますが、同じ場所に連続して注射すると、皮膚の硬結(しこり)や脂肪萎縮が生じ、インスリンの吸収に影響が出るため、注射部位を規則的に変える「ローテーション」が不可欠です。第三に「垂直または皮膚をつまむ注射法の使い分け」であり、針の長さや患者の皮下脂肪の厚さに応じて、皮膚をつままずに針を垂直に刺す方法や、皮膚を軽くつまんで注射する方法を使い分ける必要があります。第四に「正確な注入と針の安全な廃棄」であり、インスリンを完全に注入した後、薬液の漏れを防ぐために針を数秒間留めてから抜くこと、そして使用済みの針はキャップをして、自治体のルールに従って適切に医療廃棄物として処理することが求められます。看護師は、患者がこれらの手技を正確に習得できるよう、実技指導を繰り返し行い、患者の不安を解消し、自宅での安全な自己注射をサポートすることが最も重要な役割となります。