糖尿病と肝臓は、一見すると異なる臓器の病気のように思われますが、実は体内での「インスリン抵抗性」を介して密接に関連しており、糖尿病患者は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」、そしてその進行形である「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」を発症するリスクが非常に高いという事実を理解しておく必要があります。肝臓は、体内で最も重要な代謝器官の一つであり、インスリンの作用を受けてブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵したり、血糖値が下がるとグリコーゲンを分解してブドウ糖を血液中に放出したりといった、血糖値のコントロールに深く関与しています。しかし、2型糖尿病の主要因である「インスリン抵抗性」が肝臓で生じると、インスリンが効きにくくなるため、肝臓が血液中のブドウ糖を適切に処理できなくなり、同時に脂肪酸の合成が亢進し、結果として肝臓内に脂肪が過剰に蓄積して「脂肪肝(NAFLD)」を引き起こします。糖尿病患者の約50%以上がNAFLDを合併していると推定されており、これは糖尿病と脂肪肝が同じインスリン抵抗性という「病態の根源」を共有していることを示しています。このNAFLDは、単なる脂肪の蓄積に留まらず、一部の患者では肝臓に炎症と線維化を引き起こす「NASH」へと進行し、さらに進行すると肝硬変や肝臓がんへと移行する危険性があるため、糖尿病患者にとって、肝臓の健康管理は、糖尿病の合併症予防と同じくらい重要な課題となります。糖尿病患者の治療は、血糖コントロールの強化とともに、脂肪肝の改善を同時に目指す必要があり、食事療法と運動療法による体重減少が、この肝臓のインスリン抵抗性を改善し、脂肪肝を解消するための最も基本的かつ効果的な治療法となります。