糖尿病患者の食事療法を成功させるためには、患者本人の努力だけでなく、「家族や周囲の人々の理解と協力」が不可欠であり、栄養指導は、この家族や周囲のサポート体制を構築するための重要な役割を担います。家族の協力が得られない場合や、周囲の無理解な言動(例:「それくらい食べても大丈夫だよ」といった誘い)は、患者の食事療法の継続を妨げ、大きな精神的ストレスとなります。栄養指導が家族に対して行うアプローチの第一は、「糖尿病の病態と食事療法の目的の教育」であり、患者の糖尿病がなぜ起こっているのか、そして食事療法がなぜ必要なのか、そして不適切な食事が患者にどのような悪影響を与えるのかを、家族が理解できる言葉で丁寧に説明することで、治療への理解と協力を促します。第二は、「家庭での食事の作り方と献立の工夫の指導」であり、患者だけが特別な食事を摂るのではなく、家族全員が糖尿病予防に繋がる健康的な食事を共有できるように、塩分や油分、糖分を抑えた調理法や、低GI食品の活用法といった具体的な献立作成のヒントを提供します。第三に「患者への接し方のアドバイス」であり、家族に対して、患者の食事制限を監視するのではなく、患者の努力を認め、ポジティブな言葉で励ますことや、外食時のメニュー選びを一緒にサポートするといった、精神的な支援の方法を指導します。栄養指導は、家族や周囲を巻き込み、「家庭全体、社会全体で患者を支える」というサポート体制を築くための重要な役割を担い、これにより患者は孤独感を感じることなく、治療を継続することが可能となります。