夜間に強まる足の痛み安静時疼痛と壊疽のリスク
糖尿病性動脈疾患(PAD)がさらに重症化し、足の血行障害が極度に悪化した状態では、患者は「夜間に強まる足の痛み」(安静時疼痛)を感じるようになり、これは足の組織が常に虚血状態にあり、足の切断や壊疽が差し迫っていることを示す、非常に危険なサインです。安静時疼痛のメカニズムは、足の血管が極度に狭窄または閉塞しているため、安静時でさえ足の組織に必要な最低限の酸素や栄養が届かず、組織が虚血状態となり、持続的な痛みを引き起こすというものです。この痛みは、血行障害が最も強くなる、夜間や足を心臓よりも高い位置に上げた際に悪化する傾向があり、患者は痛みを和らげるために、足をベッドから垂らしたり、夜中に起きて歩き回ったりせざるを得なくなり、睡眠の質が著しく低下します。この安静時疼痛の段階に達すると、足の皮膚には栄養障害による変化(皮膚の乾燥、脱毛、爪の変形など)が顕著に現れ、小さな傷や潰瘍ができた場合、血流不足のために治癒能力がほとんどなく、容易に重度の感染症や組織の壊死(壊疽)へと進行します。壊疽は、組織が腐敗し、放置すれば感染が全身に広がり生命に関わるため、足の切断が不可避となる状態です。糖尿病患者は、この夜間に強まる足の痛みや、足の潰瘍、皮膚の色や温度の異常といったサインを自覚した場合は、一刻の猶予もなく、直ちに血管外科や糖尿病専門医のいる医療機関を受診し、血行再建術(バイパス手術やカテーテル治療)といった、足の血流を回復させるための専門的な治療を緊急で開始する必要があります。