インスリン注射による治療を成功させるためには、その効果が発現するまでの時間、効果の持続時間といった特性が異なる「インスリン製剤の種類」を理解し、患者の食事や生活スタイルに合わせて最適な製剤を選択することが重要となります。インスリン製剤は、作用時間の長さによって主に四つのカテゴリーに分けられます。一つは「超速効型インスリン」(例:ノボラピッド、ヒューマログ、アピドラなど)であり、注射後10~20分で効果が発現し、ピークは1~3時間、持続時間は3~5時間と短いため、主に毎食直前に注射し、食後の血糖値の急上昇を抑える目的で使用されます。二つ目は「速効型インスリン」であり、超速効型よりも効果の発現が緩やかで、持続時間もやや長くなります。三つ目は「中間型インスリン」であり、効果の発現が緩やかで、持続時間が10~20時間程度と長いため、1日1~2回の注射で基礎的なインスリンの必要量を補う目的で使用されます。四つ目は「持効型インスリン」(例:ランタス、トレシーバなど)であり、注射後もピークを作らず、約24時間(トレシーバはさらに長い時間)にわたりインスリンが血液中に緩やかに放出され続けるため、基礎インスリンの必要量を安定的に補う目的で、1日1回の注射で使用されます。1型糖尿病患者の治療の基本は、基礎分泌を補う持効型インスリンと、食後の急上昇を抑える超速効型インスリンを組み合わせて使用する「強化インスリン療法」であり、2型糖尿病患者の場合は、持効型インスリンや、超速効型インスリンを必要に応じて導入します。インスリン製剤の選択は、患者の食事時間、食事量、そして活動量といったライフスタイルを考慮し、医師が患者の血糖変動パターンに合わせて調整するため、患者自身も自己血糖測定(SMBG)の結果を基に、インスリンの作用を理解し、治療に主体的に参加することが求められます。