糖尿病の薬物療法、特にインスリン注射やSU薬(スルホニル尿素薬)を使用している患者にとって、「低血糖」は最も注意すべき急性合併症であり、看護師は低血糖の兆候、対応、そして緊急時の管理について正確な知識と迅速な対応能力を持っておく必要があります。低血糖とは、血糖値が正常範囲(一般的に70mg/dL未満)を下回り、動悸、冷や汗、手の震え、強い空腹感、意識障害といった症状が現れる状態を指します。低血糖の兆候を早期に発見するための看護師の役割は、「患者の症状の訴えに注意深く耳を傾ける」ことと、「インスリン注射や食事摂取のタイミングを正確に把握する」ことです。低血糖が発生した場合の標準的な対応手順は、「速やかに糖分(ブドウ糖や砂糖)を摂取させる」ことであり、意識がある患者にはブドウ糖やジュースといった吸収の早い糖分を摂取させ、意識がない場合は、グルカゴン注射や静脈内へのブドウ糖投与といった緊急処置を迅速に行う必要があります。看護師は、インスリン注射を使用している患者に対して、低血糖の症状、対処法(ブドウ糖の携帯方法)、そして低血糖を引き起こしやすい状況(食事の遅延、運動量の増加など)について、詳細かつ具体的な教育を繰り返し行う必要があります。また、家族や周囲の人にも低血糖の症状と対処法を共有してもらい、緊急時の対応をサポートしてもらうための支援も重要です。低血糖は生命に関わる危険な状態であるため、その予防、早期発見、そして迅速な対処は、糖尿病看護における最重要課題の一つとなります。