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ストレスと睡眠不足が糖尿病に与える影響
現代社会において、ストレスや睡眠不足は多くの人が抱える問題ですが、これらが糖尿病の発症や悪化に深く関わっていることは意外と知られていません。肉体的・精神的なストレスを感じると、私たちの体はコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンを分泌します。これらのホルモンには、血糖値を上昇させる作用があります。これは、緊急時にエネルギー源としてブドウ糖を供給し、体を活動的にするための生体防御反応ですが、慢性的なストレス状態が続くと、常に血糖値が高い状態が維持されやすくなります。その結果、膵臓はインスリンを過剰に分泌し続けなければならなくなり、やがて疲弊してインスリン分泌能が低下したり、インスリン抵抗性が増大したりして、糖尿病の発症リスクが高まるのです。また、ストレスは食欲を増進させ、特に甘いものや高カロリーなものを求める傾向にあります。これは、ストレスによる不快感を食べることで解消しようとする「ストレス食い」と呼ばれる行動であり、体重増加や血糖コントロールの悪化に繋がりかねません。一方、睡眠不足も糖尿病に悪影響を及ぼします。十分な睡眠が取れていないと、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが増加し、食欲を抑えるホルモンであるレプチンが減少することが知られています。これにより、食欲が増して過食に繋がりやすくなります。さらに、睡眠不足はインスリン抵抗性を高め、血糖値のコントロールを難しくすることも研究で示されています。夜間の睡眠時間が短いと、翌日の血糖値が高くなる傾向があるという報告もあります。これらのことから、糖尿病の予防や管理には、ストレスマネジメントと十分な睡眠の確保が不可欠であることがわかります。リラックスする時間を持つこと、適度な運動を取り入れること、規則正しい生活リズムを心がけること、そして、寝る前のスマートフォンやカフェイン摂取を控えるなど、質の良い睡眠を確保するための工夫を実践することが大切です。心身の健康を保つことが、血糖コントロールを安定させ、糖尿病のリスクを軽減する上で重要な役割を果たします。